2024.06.10
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理解を深めておきたい法改正のポイント
今回は、2024年4月1日に施行された「相続登記の義務化」と「改正障害者差別解消法」についてご紹介いたします。近年、空き家問題が深刻化する中、家や土地を相続する際、所有者は「相続不動産の名義変更」が義務付けられ、もし登記がない場合は持ち主としての証明ができず、空き家管理や将来の売却にも影響が出てきます。
また、改正障害者差別解消法では、これまで努力義務だった不動産業者の合理的配慮の提供が義務化されます。
◈相続登記の義務化◈
相続(※遺言を含む。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の
取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
正当な理由なく申請を怠った場合には、10万円以下の過料(行政上の
ペナルティ)の適用対象となります。
相続登記をしないまま放置するとどうなる?
1.不動産の売却・担保設定ができない
相続した不動産を売却したい、あるいはその不動産を担保にしてお金を借りたい
という時、亡くなった人名義のままではこれらの行為はできません。
2.相続関係が複雑化する
長期間にわたり相続登記を放置すれば、相続人の数が増えていき、権利関係が
より複雑になる可能性があります。
3.相続人の間でトラブルになる可能性がある
①相続不動産の管理や税金をめぐるトラブル
②相続人の一人が借金をして差し押さえられるトラブル
③相続人の一人が勝手に自分の持ち分を売るトラブル
④相続の一人が認知症になり遺産分割協議ができなくなるトラブル
4.特定空家等に指定される可能性がある
特定空家等や管理不全空家等としての指導を受け、それに従わずに勧告を受けると
固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなるので、その翌年から固定資産税が
最大6倍になるといわれています。
相続登記を行うことは、不動産について自分の権利を守るだけでなく、所有者不明土地
の増加を防ぐという公益的な意味もあります。
相続登記について疑問や不安がある方は、まず司法書士へ相談するのが良いでしょう。
◈改正障害者差別解消法◈
この法律では、行政機関や事業者に対して、障害のある人への障害を
理由とする「不当な差別的扱い」を禁止するとともに、障害のある人
から申出があった場合に、負担が重すぎない範囲で障害者の求めに応じ
合理的配慮をするものとしています。
不動産業における「不当な差別的取扱い」の事例
こんな断り方はNG!
・緊急時に電話による連絡ができないという理由のみをもって入居を断る。
・障害者に対して、客観的に見て正当な理由が無いにもかかわらず
「火災を起こす恐れがある」等の懸念を理由に、契約を断る。
・一人暮らしを希望する障害者に対して、一方的に一人暮らしは無理である
と判断して、契約を断る。
不動産業における「合理的配慮の提供」の事例
・障害者の求めに応じて、バリアフリー物件等、障害者が不便と感じている部分
に対応している物件があるかどうかを確認する。
・障害者が物件を探す際に、最寄り駅から物件までの道のりを一緒に歩いて確認
したり1件ずつ中の様子を手を添えて丁寧に案内する。
ポイント
どのような対応が差別的取り扱いに該当するのか、合理的配慮としてどのような対応
を行うべきかはそれぞれの場面や状況に応じて異なります。障害者と建設的対話を行い
互いの有する情報や意見を伝え合いながら、相互に理解を深めていくことが大切です。